Asada’s English Readers の緒言を読む(前半)
10月17日(日)に徳山英学会で「河口昭先生からの宿題」と題して50分間の発表をすることになっています。
河口先生は、浅田栄次博士の研究者です。浅田栄次博士は、現在の山口県周南市出身で、「明治の国際人」として知られています。米国のシカゴ大学で最初の博士号を授与され、現在の東京外国語大学の前身である東京外国語学校の英語科主任教授として、日本の英語教育の基礎を築いた偉人です。
浅田先生は、1865年5月22日に現在の山口県下松市花岡でお生まれになっています。17年間勤務した山口県立華陵高校も花岡にあり、ご縁を感じています。
さて、その浅田先生が1909年(明治42年)にお書きになった Asada’s English Readers という英語読本があります。国立国会図書館デジタルコレクションで第1巻と第2巻を閲覧することができます。
関連リンク1:Asada’s English readers. book 1 – 国立国会図書館デジタルコレクション
関連リンク2:Asada’s English readers. book 2 – 国立国会図書館デジタルコレクション
今回は河口先生からの宿題の一環として、Asada’s English Readers の緒言を読んでみました。
本日(2021年10月9日)は緒言の前半を掲載します。出典は、国立国会図書館デジタルコレクションの第1巻です。ネット検索したところ、テキストデータが見つからなかったので、作成してみました。原典に忠実にするため、漢字は可能な限り旧字体を使っています。ふりがなと注は、わたしが付けました。
緒言
現今我邦中等敎科ニ用ヒラル、英語讀本ノ夥多ナル、
更ニ一新著ヲ加フルノ必要ヲ見ザルガ如シ。然レドモ著
者夙ニ1英語讀本ニ關スル理想ヲ抱キ、時機ヲ得バ自カラ
之ガ編著ヲ試ミント念フ事年アリ2。今ヤ幸ニシテ此稿ヲ
脫シ3、梓ニ上ボス4ヲ得ルニ至レリ。依テ今本書ノ特色數
點ヲ擧ゲテ編著ノ主意ヲ明カニセント欲ス。1. 本書ノ材料ハ、英、米、其他諸外國ニ關スルモノ
ニシテ、豐富ナル知識的修得ヲ與へ、健全ナル道
徳的感化ヲ及ボスベキモノヲ主トセリ。2. 第一卷ハ、初學者ノ爲メ、特ニ我邦學生ニ適切ニ
シテ、實物敎授ヲナシ得ベキ材料ヲ選ビ、發音、
句讀、單語文法等普通簡易ノモノハ、總テ此卷
ニ於テ學習セシムルコトヲ得。
3. 第二卷乃至第五卷ハ、ジョーンス、プリンス、ス
ター、ハーパー、オンタリヲ等、英、米、十數種
ノ讀本及數多ノ有名ナル史書ヨリ抜萃又ハ短縮シ
テ採錄セリ。4. 各卷ノ分量從來ノ讀本ニ比シテ稍多量ナリ。是レ
今日ノ學生ニ英語讀書力ノ乏シキヲ思ヒ、現行英
語讀本ノ分量不足ニシテ、補助讀本ノ必要ヲ生ズ
ルニ至リシ情態ニ鑑ミタレバナリ。【注】1. 夙に=以前から 2. 年あり=年月が経過する 3. 脱する=仕上げる 4. 梓に上ぼす=出版する
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