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生徒が選んだ教科書

生徒が選んだ教科書

先日(2021年10月2日)小説家の重松しげまつきよしさんの著書『教育とはなんだ』を読んでいると、文芸評論家の清水しみず良典よしのりさんとの対談が収録されていた。

高校で教えた経験のある清水さんが、教科書選びについて、「クラス全員で何社かの教科書を読んでアンケートをとってみる、というような仕組みになれば、教科書ももうちょっと変わっていくと思いますけど……」(p.71)とコメントされていた。

それで思い出したのが山口県立華陵かりょう高校でのことである。

わたしは華陵高校で2003年度(平成15年度)から、英語科の同じクラスを卒業まで3年間続けて担任させてもらった。

通常、高校で使う教科書は、各学校の先生が選び、1年次に選んだ教科書会社の教科書を、2年次も踏襲とうしゅうして使うものである。が、その年(2003年)、1年次に使っていた教科書に不都合があったため、2年次に使用する教科書を生徒に選んでもらおう、ということになった。

実際どうしたかというと、16冊の教科書を、クラスの生徒全員で手分けして読んでもらい、「おすすめシート」なるものを使って、それぞれのレッスンを5段階で評価してもらった。アマゾンの5段階評価と同じ仕組みだ。

そうやって最も平均値が高かった教科書を2年次の英語の教科書として採用したのである。平均が4以上だった教科書は1冊のみ。

選ばれたのは、啓林館けいりんかnさんの『Tomorrow : English course II』である。

その時の教科書が今でも手元にあるが、改めて読み返してみると読みやすい。

この教科書の優れた点は、本文の内容がオモシロイのに加え、読んだ後で意見や感想を生徒に英語で書いてもらったりする発展的な学習がしやすいということだ。

そうやって生徒に書いてもらった作文の中で優れたものを選んでプリントにして、クラス全体で共有した。

生徒の鑑識眼かんしきがんは優れている、と思うのである。