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浮世の直(あたい)三銭

浮世の直(あたい)三銭

「浮世の直(あたい)三銭」というのは、先日『世に棲む日日』を読んでいて出てきた言葉です。高杉晋作さんの詩句の一部です。全体は

神武におこってり二千年
億万心魂 散って煙と
愚者英雄 ともに白骨
まことなるかな 浮世のあたい三銭

出典:司馬遼太郎著『新装版 世に棲む日日 (4)』(文春文庫) p.205

となっています。この詩句の意味を著者の司馬遼太郎さんの解説をもとに勝手に解釈すると、「神武天皇の時代から長い時間が経つが、無数の人が亡くなった。愚かな人も英雄も皆白骨と化しており、実際のところ、浮世の価値はたった三銭だ」となります。

それでは、「浮世の直(あたい)」とは何かと言うと、これまた司馬遼太郎さんの解説によれば、人の一生の苦楽を相殺すると残りは三銭と高杉晋作さんは思ったとのことです。三銭がどれほどの価値があったかはよく知りませんが、ごくわずかだったことは文脈から読み取れます。

『世に棲む日日』を読むと、高杉晋作さんが稀有(けう)で波乱万丈(はらんばんじょう)の人生を送り、それがまるで小説のようであり(笑)、考えてみると、普通の人の何回分かの生涯なのですが、その高杉晋作さんをして「浮世の直三銭」と言わしめるとは…

「だから何が言いたいのか」と言われても、「ただその言葉が気になったから書き留めました」とお答えするのみなのですが、随想録ということでお許しください。(笑)