Who am I?
先日(2021年1月16日)実施された大学入学共通テストの英語のリーディングの問題を解いてみました。
まずは問題を作成された先生方に最大限の敬意を表したいと思います。特に今回は第1回の試験であらゆる観点から検討された上での問題作成で、その上、新型コロナウイルスの感染拡大のため想定外の予定変更等もあったのではないかと推察します。
さて、実際に問題を解いてみると、英文は読みやすいのですが、解答するのは大変でした。
なぜ解答が大変だったのかと考えてみると、主に2つの理由がありました。まずは、コンピュータの画面上で解いたのが一因です。英文に出てくる固有名詞や数字に下線や丸印等の記号を付けることができず、それらを覚えるのにわたしは苦労しました。その上、問題の選択肢と正解の根拠になる本文の部分をスクロールして行ったり来たりしながら解いたので、煩雑でした。紙に印刷された問題用紙で、書き込みをしてもよいという条件であれば、もう少しキビキビ解けたかも知れません。
次に、文章の場面設定にアタマを合わせるのが大変でした。今回は80分のテストで10回の場面設定があります。(1) USBメモリを紛失したり、(2) Taylor Swift に似た Tyler Quick さんのファンクラブに入ったり、(3) イギリスの学園祭のバンド発表の審査に関わったり、(4) イギリスの学校の生徒になり下校時間が早くなると言われてみたり、(5) イギリスの空港からホテルまでの最適ルートを考えたり…。
以上の5つに加えて、あと5つの設定があります。
要するに、場面設定が変わるごとに「わたしは誰じゃったかいねえ?」となるのです。例えば、第4問であれば、こんな感じです。
わたし:Emma ってなんですか?
共通テスト:あなたの英語の先生の名前ですよ。
わたし:へー。じゃ、Natsuki ってのは?
共通テスト:えっ! 忘れたんですか? あなたのお友達じゃないですか。
わたし:あっ、そうか。じゃ、Kaede は?
共通テスト:駅の名前です…。
わたし:いったい私は誰ですか?
要するに、問題を解くには、自分を捨てて無我の境地に達して、相手に話を合わせながら柔軟に考える、ということが大切です。つまり、Emma 先生の顔も Natsuki さんの顔も思い浮かばず、Kaede 駅がどこにあるか皆目見当がつかなくても、それでも何とかやる、という即興的対応力が大切だと身にしみました。
以上、昨日問題を解いた時点での率直な感想です。
この問題を作るのは相当大変だったと思います。その上、新型コロナウイルス対応も含めて、追試験があと2回あります。誰がどのように作成されたのか知る由もありませんが、単純に考えて、今年(2021年)だけで30通りの場面設定を考えなければいけなかったはずです。ということは、ボツになった設定も合わせると……気が遠くなりそうです。だから、最大限の敬意なのです。
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