これってどういうこと?
英文を読んでいると「これってどういうこと?」と思うことがあります。
なぜかと考えてみると、「単語を知らなかった」「文構造が複雑だった」ということが多いのですが、もう一つ見落としがちな理由は「常識がなかった」です。
「常識」というのは、「世の中がどうなっているか」ということで、全てを記述するのはほぼ不可能です。例えば、人間は空を飛べない、人間は空気の中の酸素を吸って生きている、人間は人間から生まれる。思いつくままに書きましたが、「常識」は無限に細分化できるので、全項目を網羅するのは不可能に近い。だから、人工知能も「常識の壁」が超えられずに、「世の中」の範囲を限定するか、あきらめるかという対応になっています。
英文読解では、意外に「常識」が大切で、著者と常識を共有していないと理解が進みません。英語の表現で
We are on the same page.
というのがありますが、直訳は「わたしたちは同じページにいる」で、つまり「共通理解ができている」ということです。そうでないと、話が噛み合わないことになります。また、別の表現で
I know where you are coming from.
というのもあって、直訳は「わたしはあなたがどこからやってきているのか知っています」で、つまり「あなたの意図は分かりますよ」という意味です。英文を読む際は、著者と視座を共有してこそ理解を深めることができるのです。
大学入試の英文は、多くが「常識」の範囲内で書いてあります。人間が空を飛んだり、人間が空気の中の窒素を吸って生きていたり、人間がクジラから生まれたりはしません。ですから、学校の全ての教科の授業で習うようなことをフツーに理解しておけば、大丈夫です。
ただし、難易度が高い英文になると「常識破り」が出てきます。例えば、先日(2020年6月26日)のブログで書いた東京工業大学の大問[1]では、カナダのバンクーバーで行われたネズミの生態調査に関する記事が問題文になっています。「常識」では「ネズミは害獣なので、駆除するのが正しい」です。ところが、この記事には「ネズミを駆除すると病気が拡散する恐れがあるので、ネズミは放っておくのが得策だ」と「常識破り」な結論が書いてあります。
記事へのリンク:When We Exterminate Rats, Do We Unintentionally Cause the Spread of Diseases Like the Plague?
今回は「常識」を取り上げましたが、英文を読むためには、総合格闘技のように様々な技能が求められます。
こういうトレーニングをしたい高校生の皆さんは、ぜひうめじ英語塾に入塾してください。一緒にがんばりましょう。
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