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『棟梁 技を伝え、人を育てる』を読みました

『棟梁 技を伝え、人を育てる』を読みました

昨日(2020年2月15日)宮大工の小川三夫(おがわ・みつお)さんの『棟梁 技を伝え、人を育てる』を読みました。

小川さんは、法隆寺宮大工の西岡常一(にしおか・つねかず)さんの弟子(でし)で、1977年に寺社建築の設計・施工をする「鵤工舎(いかるがこうしゃ)」を創設されています。この本は、小川さんのお話を塩野米松(しおの・よねまつ)さんが聞き書きされたものです。

小川さんはこの本の中で「ものを教わる、覚えるために一番大事なのは、○○なことや」(p.36)とおっしゃっています。さて、○○には漢字2文字が入りますが、何だと思いますか?

わたしは、山口県立岩国高校で初任の教員だったとき、隣に座っていてわたしの指導教官だった先輩の先生が生徒に同様のことをおっしゃったのをすぐ横で聴いたことがあります。その先生は「□□(←生徒の名前)、○○な者が伸びるからの」とおっしゃいました。

その時もなるほどそうだと思いましたし、今でもそうだと思っています。○○に入る漢字2文字とは「素直」です。

素直な人が伸びるのは、教える人の言うことを聞いて、実際にやってみるからだと思います。素直な人は、まずやってみて、実際に試してみてから、自分に合うか合わないか考えます。他方、素直でない人は、先にできない言い訳を考えるので、実際に試してみることがありません。だから伸びないのです。

ものを教わる、覚えるために一番大事なのは、素直なことや (p.36)

さて、小川さんの本に話を戻すと、「器用は損や」(pp.126-)という話も出てきます。わたしは丸暗記が苦手で、高校時代の暗記大会では痛い目に遭いました。不器用なので、あれこれやることができず、英語だけひたすら続けているわけです。なので、小川さんの話を聴くと(=本を読むと)、なんだか妙に勇気づけられるわけです(笑)。

不器用の一心に勝る名人はない (西岡常一棟梁の言葉 p.127)

200年とか300年とか持つ建物を造る小川さんの仕事はスケールが違うなと思います。ものの見方が100年単位なので、人の育て方もすぐに決着をつけようということではありません。わたしは昨年(2019年)6月にうめじ英語塾を始めたわけですが、何をゴールにするのか改めて考えさせられる、心が震える一冊でした。

わたしは次の一言にも感動しました。

みんなうちの子らがやったものや。どれも恥ずかしくない物ばっかりや。(鵤工舎が手掛けた建物について小川三夫さんが語った言葉 p.204)