福沢諭吉さんに出くわす
「福沢諭吉さんに出くわす」と言っても、道端で一万円札を拾ったわけではありません。無論、ご本人に出会ったわけでもございません。
参考:独立行政法人 国立印刷局 – お札の基本情報
目下(もっか)、司馬遼太郎さんの『峠』をエッサホイサと読んでいますが、419ページで福沢諭吉さんが突如として登場しました。
1867年11月の大政奉還後に、主人公の越後長岡藩(現在の新潟県)の河井継之助さんが江戸城を訪れた際に福沢諭吉さんに外国方(がいこくかた)の大部屋で出会っています。「外国方」とは幕府の外交を担当する部局です。当時、福澤さんは1866年から出版された『西洋事情』がベストセラーとなり、日本に西洋の様子を知らしめる立役者になっています。
「自由」という言葉も福沢さんが freedom や liberty に当てた訳語で150年以上も前の造語が今も採用されていることに驚きます。
参考:西洋事情. 初編. 一 | 慶應義塾大学メディアセンター デジタルコレクション
司馬遼太郎さんの描写によれば、その時の江戸城は、260年余り続いた江戸幕府が瓦解(がかい)し、世の中が様変わりするとのことでごった返していたそうです。
福沢さんはもともと大坂の適塾で蘭学を学んでおりオランダ語が専門だったのですが、時勢を洞察して英語のスペシャリストになりました。江戸時代の終わり頃から英語の重要性が高まり、それが今にも続いていることにも驚嘆します。このことについては、考えがないでもありませんが、また別の機会にでも、とはぐらかすとしましょう(笑)。
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